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誰かの特別になりたい。
特別な私にはなれそうにないし、誰かの特別になりたかった。
どこまで言っても誰かの代替品だ、私は誰かだけのになりたいのに。
一生叶わないのだろう、どこで間違えてしまったんだろう。本当は間違ってなんてないのかもしれないけれど、どうしたって間違ってしまったような気持ちになってしまう。
私が変わればいいんだろうか、好いてもらえるように。
変身、変心。身も心も変えてしまえば、私のことを好いてくれますか。嘘、本当はそんなことはしたくない、ちっとも。
偽物でいるくらいなら、と何もかもを拒絶できる馬鹿さが、強さを私が持っていればよかったんだろうか。代替品でいるくらいなら、と言えたら、良かったのだろうか。
そんなことを考えたとしても、私は代替品であることを選んでしまう。誰も居ないよりは良い、そうどこかで思っているから。それなのに、誰かの特別になりたいだなんて、なんて浅ましいんでしょう!
私が相手を好きなくらい、相手も私を好いてくれたりしない。
恋人が満たしてくれる、すべてを。どちらかで良いじゃないか、そう思うけれどそれはやっぱり別物でしかない。
どうしてこんなに我儘なんだろう。でも若者は友人の方が大事らしい、流行りだ、私も流行りに乗っているのかもしれない。
一人以外への関心なんて、すべてなくなってしまえば良いのに。
べとべととした醜い思いで歪んでいく。こんな醜さから早く脱却したい。