静電気

また5月がきたよ

あなたによせて

輝かしい頃の記憶を掘り起こすのは恥ずかしくて、残酷な行為だ。もう二度とは戻らないものはどうして馬鹿みたいに綺麗なんだろう。でも忘れたくないから、こうして記すんだろう、記してしまうんだろう、馬鹿みたいだ。

私はわたしに興味がなさそうなひとが好きだった、とはいえ本当に無関心だったら苦しいだろうけど。その少ないであろう他者への興味のリソースを少しでも割いてくれたなら、それはこの上なく喜ばしいことでその関心を得ることが出来たならと思っていた。あなたは私が自殺しても泣かないと思ったように、私は私が居なくなっても、あなたは大丈夫だろうと思った。本当の意味で私を必要とすることはないと、そう思っていた。

与えてくれたものに対して応えられてないとは思っている、それだけが申し訳なくて仕方がない。こんなに支えてもらったのに、何もできなかった、何もしなかった。ありとあらゆるものを貰って、傷だけつけてしまったような、そんな気さえしている。返済は出来ないんだろうと思う、返してほしいなんて、優しいから言わないだろうけど。

他人から言われるようなことを私はあなたに思ったことがなかった、私はあなたが優しいことを誰よりも知っていたし、他人にどう言われようとどうでも良かった。その度にきっとこれ以上に同じだと思える人は他にいないのだろうと思った。なんでそれなのに別れたいと思ってしまったのか、よく分からない、よく分からないと言って怒らせたことを思い出す。私があなたを傷つけた回数の方が遥かに多いだろうと思う、あなたの優しさに甘えてばかりだった。あなたの庇護のもとにいるのがいちばん幸せなのではないかと思うのに、どうしてうまくいかなかったんだろう。変わっていくことは疎ましい、薄れていくことは悲しい、あのままでいられたら良かったと思わなかったといえば、嘘になる。

読んだ文章たちは苦しくて、涙が止まらなかった、思った以上に悲しくて、自分勝手さに辟易した。悲しいからやっぱりこのままでと言おうと思えば言えるけれど、それはただの誤魔化しで、あなたはそれでも良いというかもしれないけれど、結局のところ、今か後かでしかない気がして、もうこれ以外の前向きな選択肢は存在しない気がするのだ。

なんて自分勝手なんだろう、馬鹿みたいで涙が出てくる、こんな駄目な私をどこまでも愛してくれた、幸せにしてくれたことについて感謝してもしきれないのだ。あなたがいなければ、どうして私は生きていけたろうか、私はあなたが居て本当に良かった、あなたに生かされたと本当に思っているのだ。あなたの言葉に、何度生かされただろうか、きっとこの後もそうだろう、くれた言葉で生きていくと思う。それなのにどうしてと思う、でも思わないで欲しい、お互い苦しいだけだから。

どんな形になるか分からないけれど、これをひとつの区切りとしましょう。謝罪することしかないけれど、謝罪をするのはヒロイック過ぎるから割愛します、感謝することもいっぱいあって、ひとつひとつ書いていくとどうなるんでしょう、大変なことになる、なので割愛します。
ごめんなさい、本当にありがとう。
そして、生きて下さい、これは呪いです。私は自殺されたら泣いてしまうので。あなたの求めたものには何一つ応えられそうになくて、申し訳がないな。